匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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……ん?
(彼女が出て行く足音で耳がピクリと反応する。ゆっくり目を開けると本殿から出て行った彼女の背中を確認した。一瞬連れ戻そうか迷ったが大丈夫だろうと判断して再び目を閉じる。鳥居より先へは行けないだろうし、裏に回ってもイナリの温泉より先へは行けないようになっているはずだ。それに彼女はきっと身体を動かしたいだけで脱走の意図などないだろう。もし無理に鳥居を越えようとし続けたならば、並の人間なら形状を保てなくなってしまう。彼女のことだ。一度越えられないと分かったら大人しく帰ってくるだろう。ふと自分にかけられている毛布に気が付く。きっと自分に気を遣ってのことだろう。此方が繧繝縁の上で寝ているから寒そうに見えたのだろうか。湯上りの自分の身体は毛布など無くても大丈夫だというのに。つい頬が緩む。なぜかは分からない。彼女から毛布を掛けて貰えたことが無性に嬉しかったのだろうか。一体なぜ? と考えても考えても答えの見つからない問答をしている内にすっかり眠気が逃げてしまった。折角だからと起き上がると社の屋根へ登り上から彼女の様子を観察することにする。)
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