匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(本殿から出ていく後ろ姿を静かに見送ると、そのまま視線を落として読書に勤しむ。静かな空間で本を読むのは昔から好きだったし、何より物語の世界に没頭することで余計な考え事をしなくて済んだ。
暫くして幾つか頁が進んだ後、ふと、繧繝縁の上から声が聞こえた気がして視線を上げる。すると、そこには変化を解いた彼の姿があった。いつの間に帰ってきてたのかしら、と小さく首を傾げるも口には出さず、一旦本を閉じて代わりの返答を。)
…九尾様を困らせるなんて、私ってばなかなかの罪人みたいね。そんなに気にしなくても、大分調子も戻ってきたし、もうその尻尾を触らせて欲しいなんて言わないわよ。
(くすりと揶揄うように笑みを含みながらそう言うが、彼が何を想って心が休まらなかったのかは検討がついていなかった。さしずめ、厄介な人間の相手に苦悩が尽きないのだろう程度にしか考えてはいない。凡そ、その考えも間違いでは無いのだろうが、あまり勝手な憶測はしないようにしてもう一度本の頁を捲って視線を落とす。…正直なところ、あの尻尾にはまだ触りたい気持ちはあるが、直接口に出すことは控えようとは思う。)
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