匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(得意げに笑う相手を見て手元にある和紙に視線を落とすと、何やら沢山の文字が書かれており、自分は随分と寝ていたんだなと感じる。いくら高校教師といえど、草書体は専門外らしい読めはしないが、自信満々な彼の様子から察するに立派なことが書いてあるのだろうかと憶測する。
そして、彼から投げかけられた問いにはゆっくりと首を振りながら「いつもって訳では無いわ」と口を開く。)
…ただ、今日は初めて仕事を休んだから、罪悪感でもあったのかしら…悪い夢を見ただけよ。
…私は高校で教師をして大勢の子ども達と向き合ってきたけど、最初は、仕事が好きだったわ。子ども達の将来に携われる仕事だし、色んな人達と関われるから。
(他人のことに興味があったし誰かの役に立つ職業に憧れ教師を目指した。大学卒業後から約3年間勤め、受け持ったクラスだけでも100人ほどの生徒とは関わった事だろう。生徒に慕われ、やりがいのある仕事ができると思っていたが。現実はそう甘くはなかった。若さとこの性格故にベテランの先生からは嫌われ、生徒たちからの尊厳を得ることも無く。真面目にやればやるほど、生徒や同僚からも距離を置かれ、自分の首を締める結果となった。
─ふらりと一瞬視界が歪み眉間に小さく皺を寄せながら、ちらりと自身の鞄へ視線を移すと、尚も止まらぬ汗を拭い、あの紙切れを必死に書いていた自分を思い返しながら言葉を続ける。)
……今年は、3年生の担任をしていたの。大学の受験とか、就職とか…あの子達にとって大きなことだから、私も一人一人の評価を怠らなかった。
でも、「なんでこんなことしてるんだろう」「なんであんな子達の為に」って一度思ってしまったら…、なんだか全てに疲れてしまって。
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