匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(またもや彼女の口から死を連想させる言葉が聞こえると、ぎろりと目を剥こうとしたがすぐに訂正が入ったため不問にする。本殿の奥には本来本尊が安置される場所が空白となっている。元々は本尊が安置してあったのだが、激昂したイナリが自身の手で破壊してしまった。傍らの蝋燭に火を付け、元々本尊が安置してあった繧繝縁の上にどっしりと座ると、彼女の語りに耳を傾ける)
……己を偽らなかっただけ、人間にしては賢明じゃの。己が誠を尽くしても仇で返す者は古来より居る。そういう者には必ず罰が下る。
(だから気にするな、とは言わなかった。気にするなと言われて気にしないような人間なら、このような場所まで来ていなかっただろう。ただ一つ異を唱えたかったのは、自分が人から愛されない者であると断じていること。お主を愛する人間だって居るだろう──そう伝えようとしたが、五百年以上生きてきても、イナリにその類の言葉を忌憚なく伝えられる術は身に付いていなかった)
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