匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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…気にしないで。そもそも、私自身、愛される人間ではないもの。誰かの温かさに触れられただけでも充分冥土の土産に──…、って、こんなことを言ってはまた貴方に怒られるわね。
( 身体を離した後、言葉を残してそそくさと本殿へ入ってしまった相手の背を見送ると、少し遅れて立ち上がりながら返答の言葉を。もともと叶うわけが無いと割り切って願ったものだったし、抱きしめて貰っただけでも叶ったと等しい。
そして、外で出会った時に“死”を仄めかす発言をした際『不愉快だ』とはっきり言われたことを思い出すと、片手で口を抑えながら失言を反省したような素振りを見せる。
そして、自分も入って良いということだろうか、と開いたままの戸に手を掛けると、なんとなく気まずそうに去っていった彼が気になって、追いかけるように数歩中へと入っていく。
辺りを一頻り見渡すと、今度はそこで膝を折り腰を下ろして。まるで独言を呟くように自身の思う“愛”について少しばかり語り始めた。)
私は、人が好きだった。…他人を愛したかったし、他人の力になりたかった。だから、こんな私でも大勢の役に立てるような職に就きたくて、努力したの。でも、此方が幾ら誠心誠意尽くしても、努力しても、返ってくるのは憎悪や罵倒ばかり。
…女は愛嬌、なんてよく言ったものだわ。本当にその通りだもの。人から愛されるのは、もっと可愛くて、明るくて、愛嬌のある者よ。それでも、だからって、本当の自分を隠してまで無理に笑いたくなんてないじゃない。
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