匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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…これは我が我の意志によって行う。
断じてお主の下命で行う訳でない。
(イナリは誰かに命令されるのが嫌いだった。ましてや人間が何の道理あって九尾の狐に命を下そうというのか。しかし彼女を見て気が変わった。彼女はあまりにも弱者だ。先程の所作を見て確信した。憎しみを孕んだ手で紙を握り潰し、どうせなら地面に叩き付けでもすれば良いのに、此方に遠慮したのかカバンに隠した。負の感情を抱えながらも他者に配慮してしまう。きっと生来の真面目なのだろう。生きるのに疲れたとて、自分で終わらせる度胸もない。それならばいっそと、あくまで自分の意志であると強調した上で彼女に告げる。彼女の正面に立つと、さっと抱き竦める。徐に顔を耳に寄せると耳元で「封ジ給へ」と囁く。その刹那、本殿の扉が開き強風が吹き荒れる。彼女が風に飛ばされないように背で庇う。この風に吹き飛ばされ本殿に吸い込まれれば、一生現世に戻って来れない。イナリはこの弱者を一生自分の手許に置いておくつもりは毛頭なかった。やがて風が収まり、本殿の扉がゆっくりと閉じると、さっと彼女から離れる)
……これで完了した。お主は我の社に封じられた。もうここから出ることはできん。
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