匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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やはりお主の料理は美味じゃ! 我は最早、これ以外は食えぬな
(まるで子供のように夢中で食べると味噌汁を啜りながら大仰に言う。仕草こそ大袈裟だが、言葉は偽らざる本音で。人間の手料理を口にしたことが無い訳では無い。今までが不味すぎたということもない。ただ彼女の料理は、一級品ばかりの豪華絢爛な料理をも凌駕するものがあった。味付けなのか、イナリの味蕾が変化したのかは分からない。ただ彼女の料理はいつもイナリを酷く感動させる)
む…?
ふん…。昔はようおった。社だけでなくどこにでも妖がおった。それが時代の流れと共に多くが没落し、今この辺りでは数える程度しかおらぬ。
…ここより西に荒れ果てた社がある。そこに狸が棲んでおる。無礼千万で礼儀のれの字もなき妖よ。万が一来ても相手にするでないぞ
(味噌汁を啜りながら眉間に深い皺を作る。それはかつてイナリを「変化バカ」と罵って笑い者にした妖だった。イナリと同じ時を生きている妖で、向こうはイナリが好き──揶揄いの対象として──だが、イナリは大の苦手だった。折角の食事で悪友の存在を回想すると、ゾワッと尻尾と耳が逆立つ。悪友の回想を打ち消すように首を振ると、味噌汁を一気に飲み下す)
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