匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(一瞬変化が解ける彼の様子を、またも肩をビクつかせながらも眺めていれば、飛び出すように本殿を出ていく背中を慌てて追いながらまたもくすりと笑いを溢した。また怒らせただろうかと思いながらも、実のところ容姿を褒められるとどういった気持ちになるのか分かっていなかった。同性からも異性からもロクに褒められたことが無かったし、自分にとってはただの正直な褒め言葉でしかない。恋人は…いたに等しい時期が一度だけあったが、振り返ってみれば何一つ褒められたことは無かった。
ぼんやりと数年前のことを思い出していると、鳥居の前で一度立ち止まり、向こう側にいる彼を見る。ゆっくりと一歩を踏み出すと、ほんの少し、空気が変わったように感じた。ふと自分の両手をかざしてみると、確かに自分の目にはしっかりみえるのにここからは幽霊同然かとこれまた不思議な気持ちになる。)
…ごめんなさい。行きましょうか。
(小走りで彼の隣へ追いつけば、上記を述べて歩き出す。妖である彼と、人間であるにも関わらず他者からは見えない自分、未だに現実味はないのだが、清々しい晴空が心地よいのは確かで、無意識に深呼吸をすると静かに息を吐き出す。そして、もう一つ買いたい物があったんだと思い出すと、前を向いたまま問いかけてみて。)
そうだわ。…私、洋服が欲しいのだけれど、寄り道してもいいかしら?
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