匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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…誰のせいじゃと思っておるのだ
(彼女から取り繕っていることを見抜かれ、それが此方に落ち度があるような物言いをされれば聞こえるか聞こえないかの小さな声でぼそっと呟く。此方にも過失はあろうが、8割方は其方の責任じゃろう。抗議したくなったが追求されるとイナリが覗きのレッテルを貼られるため、尚も取り繕った顔を続ける)
折角じゃが…これは使えぬな。お主を封じた際にお主の私物も我以外には認知できぬようになった故な。
それに我は富を増やすことなど朝飯前。欲しいものがあれば遠慮なく言うが良い。異論は言わせぬ。我は絶対じゃからな。
(手渡された長財布を暫く眺めていたが、彼女に押し付けるように返す。本当は彼女の私物は問題なく使用できるのだが、嘘をついた。一つは居候の金で買い物をするなぞ名誉に関わると考えたから。もう一つは彼女を解放した後のことを考えていたから。 イナリは彼女をずっと手元に置いておく気はなかった。以前に街へおりた際図書館で読んだ本には、現代人は過酷な労働の割に収入を得ていないと書いてあった。彼女の経済事情は分からないが、何にせよ今ここでイナリが使ってしまっては今後の彼女の生活に差し支えると考えたからだ。イナリは金を稼ぐ苦労を知らない。元よりその手中で富を生み出すことができる妖術を持っていたし、人間たちがお布施もしてくれてたから。その身も心も擦り減らしながら労働の生贄となっていた彼女の苦労は分からない。だからこそ多少の引け目を感じてつまらない嘘を言った。
やはり尊大な物言いをすると、パチンと指を鳴らす。すると耳と尻尾が消え、完全に人間の姿になる。久方ぶりの人間への完全な変化に少し違和感を覚えながらも、彼女の方を向いて問い掛ける)
街までは歩いて行きたいか? それとも我の術で一瞬で行きたいか? 選ぶが良い。
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