匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(彼女の話を聞いて再び驚く。彼女の口ぶりからして彼女が持っているスマホは最新のものでは無いのだろう。では最新のものは一体どれ程の進化をしているというのか。まさか四角か形状が変わっているのか。画面に触れることなく念力で動かせるようになっているのか。実際そんなことは無いのだが、イナリは意外に怖がりな性格でもあった。一度警戒したものはこの目で現実を確かめるまで疑い続ける。そういう性格だから突飛な妄想をしてしまう。そんな下らないことを考えている内に彼女が口を開いた。
イナリは掛ける言葉が見つからなかった。彼女の視線は明らかに泳いでいた。そして自分の反応を確かめることなく社務所を後にしてしまった。残されたイナリは何か彼女の気に障ったかと考えるも全く分からなかった。自分は事実しか言わなかったはずだが。いや事実を言われたから動揺していたのだろうか。自分の姿が認知されないことにショックを隠せなかったのだろうか)
…人間とは難儀じゃな
(複雑な人間の心境にぽつりと呟くと、ここは一人にしておいた方が良いだろうと考え、その場に腰を下ろす。今回の件と言い、鳥居前での涙の件と言い、人間と接することが好きな彼女のことだから、やはりショックだったのだろう。イナリのように人間に忘れられた状態が永く続けば別に何も思わないのだろうが。そう考えると自分にはデリカシーが欠けていたかと僅かながら反省する。放っておくとは決めたものの、やはり気になって立ち上がって本殿へ向かう。いきなり声を掛けると吃驚させてしまうかと思い、音を消して本殿まで近付くと少しだけ顔を覗かせ中の様子を伺う)
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