林檎の園(〆)

林檎の園(〆)

掲示板ファンさん  2023-10-09 19:52:48 
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二人だけの禁断の楽園─

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  • No.40 by 羽賀 千秋  2023-10-26 21:34:24 


(だってさ千秋くん!!頑張ってね!!()お姉さーん!!大事な弟のちーくんがピンチですよ!!!ギャラリーに新しい作品出してる場合じゃないです!!()姉弟愛も良いですよね…癒やされる…トウトイ…もう千秋くんと一緒にお姉さんの作品見ちゃいましょう!!())

(予習しない云々については失礼だが、まあ見た通りだなどと考えながらまた聞き流す。─ギャラリー、という言葉を口にしたことで、そういえば、と姉のことを思い出す。先日、久々にアトリエとは名ばかりの、ほとんど使われていないガレージから石の削り滓に塗れて出てくる姿を見た姉が近くのギャラリーに新作を出展したから見て欲しいだのなんだと言っていた。自身の言葉を聞くなり、何やら楽しげな仕草をする彼に適当な相槌を打ちながらオニオンスープを飲み干し、最後に追加注文したブラックのコーヒーを啜ってから本を鞄に仕舞う。彼の楽しそうな言葉を聞いている限り、どうやら次の行き先はギャラリーに決定したらしい。近くのギャラリーは何処だったか、と携帯を取り出して検索してみれば、ちょうど姉が新作を出展したと言っていたギャラリーが一番近いようだ。─姉から新作の評価も求められていたことだし、丁度良いか─などと思いながら席を立ち、伝票に手を伸ばすが彼に掻っ攫われてしまう。何か言おうと口を開きかける時には、彼は既に軽い足取りでレジへと向かい、自身が鞄から財布を取り出す間もなくさっさと会計を済ませてしまっていた。ここは彼の好意に甘えることにしてカフェを出、携帯で先程のギャラリーの出展作品を何ともなしに眺めているとその中の一つ、彫刻の「鷹狐」に目が留まる。作者は"茜姫"─自身の姉、羽賀葵の作品だった。写真で見ているだけでも樹の上から狐を見下ろす鷹の冷徹な瞳や、逆に地上から鷹を真っ直ぐに見据える狐の、底の見えない妖しさを秘めたような雰囲気がひしひしと此方に伝わってくる。─実際に見れば、どれだけ圧倒されるかは分かり切っている。表情は相変わらず無表情であるものの、心無しか先程よりも足取りは軽く、いつの間にか目の前にいた彼を追い越して先を歩いており)

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