乙種七類型調査隔離　──番、〆

そうだな。大人しく俺に全感情を寄越せ。( 大仰に頷くと偉そうにフンと息を吐き )…お前に退屈なんて瞬間があったとはな。基本忙しくしてる姿しか見なかったぜ。( やや揶揄の響きを含ませながら首を傾げ )まあ同情で飯は食えねえしな。……俺のことか？今の俺は若干機嫌悪いけどな。何せ過去の男の惚気を聞かされたばっかりだ。( 一切謙遜すること無く相手の言うイイ物は眼の前の男であるのかと問い掛けて / 自身にとって執着は惚気話にも等しくまだ妬みの感情を声に滲ませており )

自分の趣味を疑っちまうなァ。( 此方が譲歩するというのに相手からは一切の歩み寄りも無いようで二度目の溜息を零し / その言動に反し声色は満更でも無いようで )忙しくたって刺激がねぇなら退屈以外の何物でもねぇだろ。大抵の事は思い通りになっちまうんだから。( 視線を虚空へ向けると鼻白んだような面持ちで口にし )お前以外に何があんだよ。…話さなかったら話さなかったで機嫌悪くなんだろ。今はお前の事しか考えてねぇのに何が不満なんだ。( 殊更困ったような表情を浮かべて溜息吐き / 長話をしているうちに倦怠感もマシになったのか片手をついて上体を起こすと相手の髪に指を通し )

…こういうやつに捕まったんだ、誤算だったか？散々言っただろ、独占欲強えんだって。( 溜息を零す様子を見遣りながら淡々と述べ / 自身を指し示して口角を上げ )…んじゃあ良かったな、ここに来て新たな刺激を知れた訳だし。今後退屈ならおねだりしてくれてもいいぜ。( 相手の下腹部へと目を向け、笑みを浮かべながら首を傾げ )よく分かってんじゃねえか。……不満なんかねえよ、羨ましくて拗ねてるだけだ。要するに嫉妬してんの。どうだ、鬼もびっくりの執念深さだろ。( ゆっくりと起き出した相手を何となく眺めながら髪に巻き付く指に意識を向け / 顔に添えていた両手を引くと上体を起こした相手の腰に手を回して僅かに身体を寄せ )

お前がそういう奴なのも俺がそこまで嫌だと思ってねぇのも誤算だ。つくづく俺の思い通りにならねぇ奴だな。( 片手で相手の頬を掴み )…そういう話をしてんじゃねぇよ。( 相手の意図する事に気が付けば眉を寄せ )当たり前だろ。俺が誰よりも理解してる。…そうだな、鬼もびっくりの可愛さだ。それでお前の機嫌を取るにはどうすりゃ良いんだよ。( 頷きながらも相手の言葉を言い換えて緩慢な手付きで髪を撫で続け / 腰に回される腕に頬を緩めながら相手の髪へ唇を寄せて問い )

思い通りになって欲しいのか？お前の予想通りに動く俺なんてつまらんだろ。( 微かに笑みを漏らし )知ってるよ。都合良いように事を運びてえだけ。( 相手の表情を横目に見遣ってはひらひらと手を振って )…そうだな、名前呼べ。ついでに好きと言え。( 僅かの間逡巡し / 導き出した結論は至ってシンプルなもので / 直ぐ近くの声に意識を留めては半ば子供じみた要求を口にして )

ついさっき思い通りになってやるって言ったのはお前だろ。…まあでも確かに、それはそれで詰まんねぇか。( 不満げに零すも思い直せばゆるりと首傾げ )……俺は結構な恨みを買う事になるかもしれねぇのか。( 眉を寄せて相手の仕草を眺めていたがふと意識が逸れたのか一瞬の無言の後何事かを頭の中で理解し脈絡無く呟きを落とし )…たまに可愛い事言い出すよな、( 予想外も甚だしい返答に瞠目し / 声色に驚愕を滲ませながら呟いて )

限度と気分はあるんだよ。お前の要望に擦り寄る時は気が向いた時、ってね。( しれっとした顔で後出しの条件を付け加え )恨み？…あぁ、お前に降りかかる火の粉を払えない程甲斐性無しじゃねえよ。( 一瞬首を傾げるも自身の色事に関する懸念だろうか、ということに思い至ればぽんと相手の頭に掌を乗せ )…どういう意味だ。( 相手の表情と声に片眉を上げ / 自身でも些か単純に過ぎただろうか、という内容にほんの少し後悔し始めていた為内心で舌打ちし )

…次は何年後になるんだか知れねぇな。( 不満そうに眉を寄せると一言呟きを落とし )察しが良い事で。…ンな簡単に払えるモンなのかよ。そこら中火種塗れだろ。( 頭に乗る掌に目を細め / 相手の色事情を把握しているわけではないながら強ち間違いでは無いと考えているイメージをそのまま口にし )どうって、…お前も俺が好きなら名前呼んでやら好きって言ってやら言われたら可愛いって思うだろ。( 上手い説明の術が見つからず自らに置き換えればともすれば思い上がりにも程がある事を平然と告げ )

案外一秒後かもしれねえな。( 相手の渋面とは裏腹に愉快げな表情を浮かべ )はは、払えるよ。俺は何度も同じ奴を抱かねえし、色恋沙汰にゃ向かないことは認知されてる。最初に気持ち良くしてくれるやつ、ってのが共通認識だと思うがな。…アレだよ、お前で言う最初に身体を慣らすためのヤクと一緒だ。( つらつらと並べ立てながら乏しい知識で比喩を口にして )……思うな。でも欲しいんだから仕方ねえだろ。( 相手の身に置き換えてしまえば認める他無く眉を寄せながら低く呟き / 肩を竦めては開き直ったように言い添えて )

…つってもなぁ、よくよく考えりゃ俺のモンになった時点でこの上無い程思い通りになっちまってるし、今改めて望む事を捻り出す方が難しいな。( 独り言のような声音で告げながら手遊びに相手の顎の下を人差し指で軽く擽り )あんなモンとお前を並べるな。…それはお前が今までそのスタンスを守って来たからであって、相手ができちゃ話は別って奴は掃いて捨てるほど居ンだろ。( 喩えと分かっていながら片眉上げ / ゆるりと首傾げ )ふ、…好きだよ、ジャック。( 素直な物言いに思わず笑み零し / 僅かに体を離し相手の瞳を見詰めると意図せずとも自然と甘さを帯びる声色で告げ )

随分無欲だな。それも鬼の性質か？( 顎の下の感触に目を瞑りながら口角を上げ )あんなモン？お前にとっては命の次に大事なんじゃねえの。…それこそ知らねえな。事情分かっててまだ迫るんなら切り捨てりゃ良い話だ。そういうやつは大体やらかしがあるしな。( からかうような笑みを浮かべ / 自身にとって興味の範疇以外はどうでも良いのか暗に始末することを匂わせながら淡々と見解を述べて )……。( 瞳同士が交差すれば自然と破顔して / 自身にしては珍しい穏やかな笑みを浮かべると相手の頬に手を添え / 無言で静かに唇を重ね )

何言ってンだ、鬼は欲深いんだよ。それくらいお前が手に入る事が俺の予想の範疇に無かったって事だ。( 目を伏せる相手の仕草が何と無く愛らしく見えると指先の動きはそのままに苦笑混じりに告げ )そのつもりだったんだが、もう殆ど用済みになっちまったしな。…随分良い性格な事で。( 今後目立った取引をするつもりも無く相手にも求められないなら此方としても価値は無いと肩を竦め / 今後相手の態度に翻弄される者が少なからず居るのだろうと思えば若干の憐みすら感じながら呟き )…機嫌は直ったか？( 目の前の相手の表情に見蕩れている間に唇が重なると目を伏せて一度此方から唇を食み / そこを触れ合わせたまま短く尋ね )

今の所欲深さでは俺が勝ってるように思えるがな。( ゆっくりと瞼を上げると首を傾げて )お前自身にそいつが使えたら良いんだけどな。…んだよ、不満か？( 自分を棚に上げ、相手に薬への耐性があることに心底から残念さを覚えて首を振り / 何やら含みのある言い方に片眉を上げて )そうだな、今後は機嫌以外のために言ってほしいもんだ。( 何処か擽ったささえ感じる距離に僅かに笑みを零し / 必然潜められた声で冗談じみた文句を受け答え )

…あぁでも、俺ももっとお前の事が知りてぇな。( 双眸が開かれるのと同時に手を下ろし / 思えば相手自身の話はあまり聞いた事が無く口元に笑みを浮かべ )…この上薬なんか使われちゃ堪ったもんじゃねぇな。…あァ、今後お前が火消しに使う時間ができると思ったら不満だ。( 苦々しく表情歪め / わざとらしく眉を下げ )…そう安売りしてちゃつまんねぇだろ。( 相手の言葉の終わりに再度唇を食んでから離れ / 笑みの混じる声色で返し )

俺のことねえ。嫌という程思い知らされたんじゃねえの？( 相手の言葉に僅かに目を細めては連連と重ねてきた言葉を思い返し )散々オススメしてたのに自分に使うのは嫌なのか。……なるほど、お前のヤキモチも随分可愛いな。( 当て擦るような言葉を添え / 笑みを漏らし相手の側頭部に手を添えるよう横髪に指を通して )言えば言うほど価値が下がると思ってんのかよ。じゃあ昨日再三聞かせたモンは価値も大暴落だな。( 不満げに片眉を上げては離れた唇にもう一度噛み付いて / 先の情事での睦言を匂わせながら相手の心臓をトン、と突いて )

いや？お前が此処に来る前の事とか、好きな物とか嫌いな物とか色々あるだろ。( ゆるりと首を傾げると相手を見据え )言っただろ、俺は商材には手ェ出さねぇんだ。…お前が欲しがるモンを俺が同じくらい欲しがんのに可愛いも何もねぇだろ。( 図星を突かれると眉を寄せ / 髪に触れる手に目を細めると口元に笑みを浮かべ )……そういう話をしてんじゃねぇよ、( 再度重なる唇に目を細め / 相手の言葉へいとも簡単に昨夜の記憶が微かにフラッシュバックすれば目を伏せて不満を零すような口調で告げ )

此処に来る前？とっくに知ったもんだと思ってたけど、ニンフ口説いてとっ捕まった。それ以外は何の面白みもねえ辺境貴族だよ。( 何の打算も無く自身について話すのは慣れておらず、何を話せば良いものやらと内心で困惑しつつ言葉を捻り出し )今は商材にするつもりもねえんだろ、心置きなく試せるじゃねえか。…そういうのが可愛いんだよ。( 逃げ道を塞ぐように言葉を重ねて / 一通り柔らかな髪を弄ぶと緩々と手を離し )…はは、思い出してシたくなったか？( 頬を片手でするりと撫で / 目を伏せた相手の様子にクスクスと笑みを漏らして揶揄するような口調で告げ / 言葉にはほんの少し欲情が滲み始めており )

貴族？…へぇ、親が画家だってのはマジなのか。( 片眉上げ /何処と無く楽しげな声色で尋ね )…俺は俺の薬で善がってるお前が見たいんだ。…趣味悪いィ奴。( 眉を寄せて不満げな口調で零し / 相手の手が離れると相手へ視線を遣り短く呟き )…勘弁してくれ、これ以上ハマったら俺が使い物にならなくなるだろ。( 胸の奥が僅かに擽ったくなような疼きを覚えるも視線を斜め下へ逸らして零し )

よく覚えてんな。禄な徴収できる土地じゃねえから小遣い稼ぎに絵を描いてたんだ。…まあ、それも建前だが。パトロン兼愛人って存在を誤魔化すための副業画家ってわけ。( 肩を竦め明け透けに事情を話し )アン。満足か？……照れてんのかよ、( 戯けた喘ぎを口にして / 愉快げに口角を上げ )使い物にならなくなったら最高だな。そのまま閉じ込めておける。( 機嫌良さそうに相手の後頭部に手を回し / 下に向いた視線を横から掬い上げるように掠め取ると顔を寄せ / 唇を重ね相手の口吻を尖らせた舌先でなぞり )

…お前人間じゃねぇ血が混じってンだろ？親は？( 相手の言葉へ無言で耳を傾けた後質問を重ね )ンな事言ってられんのも今のうちだからな。…反応に困ってんだ、可愛いなんて言われる事がねぇ人生だったもんで。( 眉を寄せて恨めしげな視線を遣り / 当然素直に肯定するはずも無く強ち間違いでは無い言葉を並べて視線を逸らし )…、ヤる事しか考えられねぇナマクラなんかお前に見放されてどっかに捨てられンのがオチだな。( 寄せられる唇に抵抗の余地は無く目を細めて受け入れ / 唇をなぞる舌先に促されるように口を開くと笑みの混じる呟きを落とし )