掲示板ファンさん 2023-09-16 14:07:27 |
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( 素直に差し出された腕を診る直前、相棒の顔に一瞬目を向け、だが何も言わず。ただ今薬を成す左手のもう一方も彼から離し、白衣のポケットを探って麻酔薬を――本来は武器を通し個体の捕獲に使うものであるその血液マガジンを取り出して、片手で器用に蓋を開ける。それから左の指先から数滴、成分調整に薬性を垂らして混ぜた後で、塗布タイプの麻酔に変えたそれを相棒の折れた箇所の皮膚へ、負傷に障らぬよう慎重に塗っていく。その処置が終わった次、流石に傷薬等のストックは無し。新たに生成した止血と傷口の接着を兼ねたもので大きな傷を隙間無く覆い、一時的に保護する。その他小さな負傷に構う事は無い――筈、だったが。ふっと視線を上げた先、余所見をする相棒の頬にある傷が、目に付いた。とっくに流血も止まっているそれに指を伸ばし、ビッ、と親指から滲ませた僅かな癒合薬血を、“何と無く適当に”其処に塗り、その傷だけは跡形も残さず修復した。それを手当の締め括りとして手を離し、相棒が腕を固定する合間に先程放り投げた自身の武器を拾う。最早一から作り直した方が早いのではという損傷具合――まあ、十割自分が原因なのだが――の銃剣を拳銃形態に戻してホルスターに仕舞いつつ、僅かに揺れる視界に目頭を押さえている所に、相棒の声が響いた。「……ん。ああ、運転だな。問題無い。」尋ねられた事を理解するのが一瞬遅れ、だがすぐに平常と同じく端的に返し、帰還の為の足を踏み出す。――駐車場所、相棒の愛車前。赤い二輪のハンドルやアクセルの感触を確かめ、一人納得に頷くと、相棒のヘルメット着脱程度は補いつつ、ややゆっくりめの運転で危なげ無く機関へと戻る。二輪を降りて機関のロビーを入った所で一度立ち止まり、数秒の間の後、 「……先に医務室だな。」報告を後回したい私情と、緊急性が比較的高い怪我人連れの建前と。その二つを合わせ、あの苛つく無能な上司達の居る管理室より、少々口煩いだけの医療班長が居る医務室を勝手に優先し、報告先とは真反対の方向に怠い身体を向け )
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