掲示板ファンさん 2023-09-16 14:07:27 |
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(何度も腕を殴られている内にバキリ、と嫌な─鈍く、何かを砕くような─音が自身の腕から鳴った。次いで凄まじい、思わず悲鳴でも上げたくなるような激痛が襲ってくる。─内出血にしては痛みが酷い。多分腕のどこかの骨、掴まれている場所的に橈骨か尺骨─音が重かったので、ひょっとすると橈骨かもしれないが─のどちらかが殴打に耐えかねて折れたか、ヒビが入ったかしたのだろうか。一切の汚れが無い白い革ジャンに、じわりと赤い鮮血が一塊滲んだ。ふと目線を上げれば、普段の毒舌で無気力な相棒からは想像もつかない、怒りに我を忘れてこちらへ猪突猛進してくる相棒と目線が刹那噛み合う。その姿に少しばかり目を丸くすると凍えて震える、浅い吐息を一つ吐き出して、後ろ手に構えていた月光の柄を自身を拘束する特殊個体の顎目掛けて突き出す。予期せぬ攻撃に、特殊個体が少し怯む。少しでも動く度に血が滲んでいる箇所が堪え難い疼痛を訴えるが、精神力で無理矢理抑え込み、身体を捻って特殊個体の拘束を抜け出そうとした。折れたかヒビが入っているかしている片腕と、健常な両腕。勝敗は誰が見ても明らかだった。─が。イヴは月光の高熱の刃を振り翳したかと思えば特殊個体の、自身を拘束している腕にその刃をぐっと押し当てる。高熱のレーザーで皮膚や肉が一瞬にして焼ける悍ましい臭いが漂い、耳を劈くような悲鳴と共に特殊個体はイヴの腕を離す。これ幸いと身を翻し、今しがた刃にこびりついた赤黒い肉片ごと、特殊個体の顔へと、野球のスイングの要領で振り抜きながら再び刃を押し付けた。特殊個体からは再び絶叫が上がり、その刃が離れるか否か、周囲を包んでいた冷気は完全に沈静化する。顔と腕、そして脚にそれぞれ大火傷を負い、戦意を喪失した特殊個体の側をするりと離れ、今度は相棒の背中へ声を掛けた。─だが。普段の相棒では、無い。普段なら制御されている筈の血液が止め処無く溢れ、手に持っている武器すら融解し始めていた。漏れる吐息は荒々しく、これでは人間と言うより、まるで獣─戦意を失って地面にへたり込む特殊個体を完全排除しかねないオーラを醸し出す相棒を前に、イヴは満身創痍の状態で異能を使用し、全身を紙片化したかと思えば相棒の前に降り立ち、肉体を再構成する。そのままぱっと両手を広げ、「アーネスト、一旦落ち着こうよ~。ほら、オレご覧の通り無事なんだしさ」と言い聞かせてみた。患部はまだ腫れてはいないが、明らかにおかしな方向へ捻じ曲がっている。落ち着いてくると革ジャンに滲んだ赤の汚れが憎らしくなってきたのか、恨めしげに見つめながら「多分これ骨折れてるかな~?ヤバいね~!」と常時襲ってくる痛みを誤魔化すように笑いつつ、普段通りの軽く明るい自身を装って、内心悲鳴でも上げたい気分を抑え付け気味に患部を振り回し)
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