掲示板ファンさん 2023-09-16 14:07:27 |
通報 |
( 此方の言葉に何か返された気がして耳をそばだてたが、一歩遅れてしまったらしい。微かに届いた音を頭の内で反芻し形を探りつつ、伸ばした手に合わせて視線を上げれば真っ直ぐ相棒とぶつかる。大概の人間は怯むか目を逸らす、己の剣呑な目付きを間近に見つめ返してくるその瞳に、こんな色だったかと今更認識し、そこに夕暮れ混じりの青空を想起する。「……む。」その思考に行動が鈍って、額を弾かんとした手が相棒に捕まってしまった。しかしそれが緩やかに包まれただけというのもあれば、ただ衝動的な気紛れだったのもあって、逃げ出しもせずに彼の好きに取られていれば――吐息が、その指先に掛けられた。「っ、何を…」仄かに水気を内包したそれは、自分よりも高い温度が含まれて、冷えきっていた肌には熔けそうなその熱に指が丸まり跳ねる。困惑混じりの怪訝な顔で此方が尋ねるより早く、その行動の意図が知らされた直後、相棒が先程己に返してきた言葉が、今頃ようやっとハッキリとした輪郭を持つ。――“口説いている”。“毒でも構わない”。理解、出来てしまった瞬間に。じわじわと蓄積されていた胸のざわめきが一気に弾け、言葉を失くす程に、狼狽する。……照れではない、羞恥でもない、その筈なのに。彼の吐息が掛かった所から、冷たい血潮が熱を持ち始め、それが忙しくなった心臓に入り込む。「なん、な…っ…」不調だろうと酩酊していようと毒に滑らかだった口は、今は無意味にぱくぱくと開閉だけを繰り返している。顰めていた顔は、驚きなのか混乱なのか普段寄せる皺も忘れ、目は見開いているのに眉が下がって、頬にうっすら赤みの差した、今までにした覚えも無いような表情に。「貴、様…っ…」この感覚から逃れたいならばその両手を振り払って退けばいいのに、そんな事すら思い付けず、かえって強張る指先が、彼の手を握ってしまって離せない。――こんがらがった頭を整え、次に行動を起こせたのは、それからたっぷり三十秒は経った後。「質の悪い、冗談を言うな…」合わせたまま固まっていた視線を背け、頬杖を解いて押さえた口許から何とかかんとか絞り出したのは、普段よりも弱々しい反発の文句。「…第一。そんな口説なぞ、私相手に垂れ流した所で無意味だろう。その辺のラット相手にでもしていろ、この色惚け猫。」そこから少しずつ、調子が戻ってきた――ように、見えて。掴んでしまった相棒の手の甲へ、指先から制御しきれなかったらしい血液が、つうっと一筋赤い色を引く。それが先程の動揺の激しさを伝えるのと同時に、今もってその事態に気付いていない事が、未だそこから感情を立て直しきれていないと、言動よりも余程素直に彼に伝え )
(/ マ゛ッ(爆散)私の心臓はもう手遅れになりましたね…恐ろしやイヴさん…()アーネストもクリティカルヒットしたようですよ!()思わず能力も溢れちゃってますが、少なくともイヴさんを傷付けるようなものでは無いのでどうかご安心を。まあ他に何も無いという保証もありませんが() )
トピック検索 |