匿名さん 2023-08-11 23:24:56 |
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っ、…いただきます。
( 主人の減らず口にはもう慣れたもので、尚も続いた可愛いという単語には耳を傾けずに流して。定まらない視線は花弁に注がれていたが、唐突に菓子を差し出されると其方を向いて琥珀色の双眸をぱちりと瞬かせる。意匠の美しいこの菓子は、確か落雁という名だったか。肩を並べて食べ物を含むなどこれも従獣らしからぬ行為、受け取りさえしても衣服に忍ばせて置こうと考えていた矢先、再び命令という名目で食べることを勧められ。堪忍したように恐る恐る細い指先で菓子を摘むと、一言添えてからゆっくりと口に含み。淡い甘味がじわりと口内に広がり、僅かに瞳を煌めかせては素直に感想を零し。中々食べる機会のない菓子は、どうやら彼女の心を掴んだらしい。 )
…美味しい。
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