真夜中のピエロさん 2022-08-04 18:44:32 |
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……でも、名前は…何だっけ…
(彼は男の顔だけをなんとか思い出す。いつも笑ったところなど見たことがない、取り巻きたちにリンチされていた存在感のない彼ーその部分だけが欠けたように記憶から抜け落ちているようで)
…ああ、そうらしいね。ありがとう。
(声を掛けられると小説から顔を上げ、ちらりとその消しゴムに目をやった後片手で受け取るとぞんざいな礼を言って)
……
(食べ終わった包み紙を丸めてゴミ箱に捨て、男はそのバーガーショップに背を向けて歩き出す。コツン、コツンと硬い足音を立てながらファーコートを揺らす姿は夜闇に溶けて)
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