検索 2022-07-09 20:46:55 |
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あぁ。油断してたらすぐに夏が来ちまいそうだ。……ん?
(不思議な感覚を覚えたあの日から数日、相手は時折こちらのことを懐かしそうに眺めたり相棒だと噛み締めていたりしていたが、それも徐々になりを潜めて今はいつも通りの雰囲気に戻っている。以前と同じようにパトロールに出かけるといえば今日は相手もついてくるようで二人で連れ立って風の街へと繰り出した。過ごしやすい気温から少々肌に暑さを感じるようになった今日この頃、相手の言葉に頷きながらまだ歩きやすい日中の風を頬に受けつつ歩いていた。いつも通りのルートを通り昔ながらの趣のある商店街へと差し掛かる、人気はないものの老舗が多いここは愛される店の多い場所だ。その中のひとつの店舗から『どうすんのよあんた!』と怒りの声が聞こえてきてそちらへと目をやる。顔馴染みの夫婦がみえたがどうやら奥さんが旦那さんを叱っているようで「どうしたんだよそんなに怒って」と声をかける。すると奥さんの方がこの怒りを共有できる人が来たとばかりに『翔ちゃん聞いてよ!』と勢いよく返事が返ってくる。今は昼時でここの店からは多くのオフィスや店へお弁当を配達しているのだが、先程旦那さんの方が配達用のバイクを倒して壊してしまったらしい。幸い旦那さんに怪我はないようだがもう既にお弁当は出来上がっていてとても二人で配れる量でもないという。それを聞いて黙っておける性格ではなくて「なら、配達手伝うぜ。それなら間に合うだろ?」と奥さんに提案して)
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