イニール 2022-01-26 01:00:51 ID:0ee18fced |
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>イールトルートさん
「ンフフ、その通り。せめて国家は国家同士と、個人は個人同士で喧嘩し合うべきだよ。
・・・・・・革命起こした側が堂々と言えることじゃあないけどね。」
気がつけば、先程まで少女に纏っていた叢雲はいつの間にやら晴れていた。
こっちで初めてできた話し相手の笑顔に、無意識に安堵が心を広がっていく。
だが同時に、彼女の抱える懸念点は水面下でピアノマンへと感染していた。
気付かぬうちに体内で発芽した種は、その存在に気付かれた瞬間不安という名の花粉をばらまく。
さらりと流してしまったが、「外に出られない」とはどういうことだ?
外に出れる方と彼女は言ったが自分にもその権利だか力だか資格だかがあるかは現状わからない。
出れたとして再びまたここへ戻ることはできるのか?
次々と湧いてくる疑問と不安を苦いコーヒーとともに飲み下す。
当然気にはなる。自分より遥かに訳知りらしいイールトルートを平和的尋問にかけ根掘り葉掘り聞き出したいのが本音だ。
だがそれが今である必要はないし、せっかく芽生えた笑顔を摘んでまで強行する価値は見いだせない。
将来的に探るタイミングは訪れるかもしれないが、少なくとも今ではない。
そう気持ちを切り替えると、パウダーシュガーを投入しながら口を開いた。
「次は君のターンだ。よかったら今度は君の世界のことをもっと教えてほしいな。
階段で話してくれた山とか、流行りの曲とか、どんな種族がどれだけ暮らしてるとか、君が好きな物とかね。」
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