イニール 2022-01-26 01:00:51 ID:0ee18fced |
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>イールトルートさん
与えられた二つの選択肢。彼女が食いついたのは後者だった。
ただしそれに対する問いは、ピアノマンが予想していたものとはまた違っていた。
(なるほど、“ここ(この世界)”には“ここ(この国)”しかないってわけか。)
「えぇ、あぁ、そう。僕が元いた世界にはそれなりにたくさんの国家があったんだ。
ここにたくさんの山やら谷やら家やら人やらが存在するようにね。」
沸騰までもうしばらくかかる。
取り出した新品のカップを念の為拭きつつ、男は語り始めた。
「大きい国もあれば小さい国もあるし、暑い国もあれば寒くてメタルバンド組むしかやることない国もある。
人口がここら一帯の住民合わせたより少ないしょっぱい国もあれば、一国だけで世界人口の22%を占めてる国もある。
当然のように子供は全員学校へ通える国、当然のように子供は全員バカみたいな時間かけて川へ水汲みに行かされる国、戦争が強い国弱い国麻薬カルテルが警察も対麻薬カルテル部隊も掌握してる国、まぁ、要は色々あるんだ。」
どうやら頭部の炎とはまた別に、彼の内側ではなにかが着火したようだ。
饒舌な喋り口にはそんな興奮と高慢さが現れていた。
「そして広大な土地には雄大な自然と摩天楼が広がり、GDPも世界一位で、毎日どっかしらの他国で爆弾落として、ディズニーランドも一番デカくて、なによりロックンロールを生み育んだ一番ビッグで一番偉大な国家」
カップを置いて、一拍あけて
「それが我が第二の祖国、アメリカ合衆国さ。
奇しくも多民族国家かつ自由を掲げているという点ではここと通ずるものがあるね。」
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