白む空に燻る紫煙　---〆

　






（　ニュージャージーにあり銃器の買取にも対応している狩猟用品店を検索していると、程なく廊下の方から硬い足音。帰れと言ったのに戻って来たのかと呆れた表情を浮かべつつ此方に近づいて来る音に顔を上げるも、隣に立ち此方を見下ろす相手の纏う空気がいつもと違う事に気付き、その言葉は口にする事の無いまま相手と視線が重なり。そして口を開いたと思えば、告げられたのは先程の電話口でのやり取りに対する文句。そんな事を言いに来たのか、と言いたくなる反面、2人で事件に向き合っているという事実を無碍にするなと言われたような気がして、溜め息を吐きつつもメガネを外すと「__悪かったよ」と素直にも一言。「だが実際気付くべきだったのは俺だ、経験を買われて来ておいてこれじゃあお粗末だろ。」独りよがりな言い方をした事は悪いと思っている、が、あの時過去の経験を以てしても気付く事が出来たはずの証拠を無駄にしたのは自分だろうと。---「気が済んだなら帰れ、帰る気が無いなら付き合え。州内にある狩猟用品店をリストアップしたい。」命令を無視して自ら職場にやって来たのだからとばかりに作業を相手にも振る。この時間から新しい事に着手すれば、終わるのはいつになるか目処も立たないのだが。「それと__何か持ってないか、クッキーとか。」職場に置いていてもおかしくない食べ物で思いついたのがそれだけだったという理由に過ぎないが、軽いもので良いから何か腹に入れたいようで相手に尋ね。　）