白む空に燻る紫煙　---〆

( ゴミ処理所で靴を探す事も、別の証拠品を見付ける事も、誰かに話を聞きに行く事も、そのどれでも無く“帰れ”だなんて。プツリと切れてしまった電話は物静かに暗い画面を残すだけで。このまま言われた通り家に帰り、ご飯を食べて、明日の仕事の為に早めに就寝するのも悪くないのだが。＿＿車は家とは反対方向の署内へ。ツカツカと神経質そうな足音を鳴らし廊下を進めばまだ仕事をしている事を表すパソコンの画面の光と相手の後ろ姿を見付ける。己には帰れと言ったのに自分はまた遅くまで仕事か。ここ数日で随分と相手にも慣れてしまったこの感情は果たして良いか悪いか。上司命令無視を高々と掲げ、座る相手の横に立つと「さっきの“俺が悪い”ってやつは訂正して下さい。お荷物かもしれないけど、私だって一緒に捜査してる。せめて“俺も悪い”にして。」聞く人が聞けば生意気ともとられてしまうだろう言葉を真っ直ぐに放ち )