刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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分かった、記録はお前に任せる。
( 立ち会いを望む相手に許可を出すと、相手と共に取調室に入りハンスと向かい合う形で座りデスクの上にレコーダーを置き。ひとつひとつ事実を確認していかなければならない、自分が容疑者として取り調べを受けているというのにスーパーに行っていない事を指摘しても彼は顔色ひとつ変えず、別のスーパーだったかもしれない、などと供述を変えるのだ。事件のショックで記憶が曖昧だと言って。冷静になれと自分に言い聞かせても、その舐めた態度に取調べの語気は強まる。暴力の件を言ってもそれは過去の話だ、あの時はどうかしていたとまともに取り合わず、当日の行き先も言わない。いよいよ怒鳴り付けそうになった時、電話が鳴って。---鑑識からの報告は、事件解決に届きそうで届かないもので思わず天を仰ぐ。現場に車の痕跡はあるがタイヤの跡は照合不可、自宅に銃器類は一切なし。唯一、車内に被害者の指紋と毛髪があったため彼女を乗せた事は確かだと言うが、監視カメラの設置が少ない地域で足取りを追うまでには至らない。深々と溜め息を吐いてから電話を切り、飄々とした様子で座ったままの目の前の男を見据える。「…助手席に被害者を乗せたな。指紋と毛髪が出た。認めろ、あの日お前は午後4時に家を出て、銀行に向かう被害者を言い包めて車に乗せ小屋に向かった。違うのか、」と淡々と問い詰めて。『__僕を疑うのは自由ですけど、全てあなたの憶測ですよね。殺害に使われたっていう凶器を僕は持っていないし、、ねぇ、刑事さん。』と、まるで一人で妄言を喋り立てている人間を憐れむように困った表情で答えると、隣に座っている相手に同意を求めて。 )
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