刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 入院に同意したものの、全てが変わってしまったあの瞬間______具体的には、突入のタイミングを窺う為に時計を見ていた当時の捜査官がけたたましい銃声を聞いた午後3時過ぎ、その時間が近付くに連れて体調は悪化していた。嫌でも当時の情景が鮮明に蘇り、妹が命を落とすその瞬間に向けて時をなぞるように記憶が繰り返される。幾ら嫌だと、見たくないと拒絶しても記憶の波は其れを許さないのだ。呼吸が可笑しくなり、苦しさからシーツを握り締める。自分が現場に入った時、不安そうな表情で園児を膝に乗せ抱き抱えながらも視線が重なったあの一瞬、確かにセシリアは自分に向けて大丈夫だと、信じていると頷いたのに。フラッシュバックに襲われ、昨晩と同じような酷い発作を起こしてしまうと思わずナースコールを押していて。---スマートフォンが着信を知らせ画面を見ると、そこには主張に行っている同僚の名前。電話に出て『どう?捜査は順調?』と尋ねたものの、相手が電話を掛けてきた理由は分かっていた。『警部補、今日は出勤してないの。署の前を張り込んでる記者もすごい数で…これは来なくて正解だと思う。』と告げて。 )
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