刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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アダムス医者
__痛みが完全に消える事は無いでしょう、けれど12年掛けて少しずつ変化してはいる筈です。…貴方にとっては気休めでしかないかもしれませんが。
( 一人言の様に溢された言葉に返事をするべきだったかは定かでは無いが。痛みや苦しみの渦中に居る人にはその“負”の大きさの変化には気が付かないものだと、加えて相手は“自分だけ楽になる事は悪”だと言う考えを心の奥底に宿している。楽になりたい、けれど許されない、その拮抗し合う気持ちの狭間で身動きが取れず、頭も、身体も、心も、いっぱいいっぱいになってしまうのだ。そうやって負荷が掛かり過ぎた事で人は時に正常な判断を失い__最悪を招く事だって十二分に有り得る。『…本当に変わらなくてはいけないのは、貴方を取り巻く環境なんでしょうね、』ぼんやりとしたままの相手を見詰め、思うのは周囲の身勝手な騒ぎ。周りが、悪いのはあくまでも事件を起こした犯人だけで相手は悪く無いと声を揃え、記者やマスコミが相手を責め立てるような記事を書かず、誰しもが相手をそっとしておけば、もしかしたらこんなにも深く苦しみ続ける事は無かったかもしれない。痛みは消えずとも、もっともっと周囲に頼る事が出来たかもしれない。__何が、誰が、“悪”だろうか。週刊誌の内容を思い出し思わず目を伏せるも、ふいに入院に対する拒否の言葉ではない、外出の許可を所望されると再び顔を上げ。『…今はまだ無理です。妹さんの命日だと言う事はわかっていますが、とても許可出来る状態じゃない。』今日がどれ程の日か、わかってはいるが無理なものは無理だと首を左右に振り残酷にも拒否を。今の相手を1人病院から出す事は、それこそ何よりも危ない事だとわかっているからで )
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