刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 相手が部屋に入って来た事を、自分の名前を呼んだ事を、認識する事は出来なかった。フラッシュバックに襲われ暗く冷たい記憶の中に囚われたまま、深い水の底に沈んでいるかのように呼吸が苦しくて懸命に息を吸おうと口を薄く開くのだがまともな酸素を取り込む事さえ出来ない。意識が朦朧とした状態の中で不意に暖かさを感じた事で少しばかり意識が浮上するのだが、それによって麻痺していた苦痛もぶり返す。掠れた呼吸の中に苦しげな音が混ざり、肩を上下させながら懸命に酸素を取り込もうとするのだが其れは喉に引っ掛かり咳き込む事となった。「…っ、ゲホ……ッは、ぁ゛…」相手が要請した救急車のサイレンが聞こえ始めた頃、完全に相手に凭れ掛かる形になり辛うじて保っていた意識は失われる事となり。 )
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