刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 近い距離で見詰めた褪せた碧眼は今まで見た事の無い不思議な揺らぎを見せている気がした。意固地になり、何処か不貞腐れた様子を見せ、そのどれもに相手の言葉を借りるなら“あいつ”が絡んでいる様な。何かとフォックスの話を出し、最終的には態々電話番号を交換した事にまで触れて来る。「フォックスさんとは席が近いしそれは何回も話すけど、名刺を貰ったのは別に__、」互いの席が近い事は相手も当然知っている筈で、そんな事を言えば別に彼と良く話をしていたのは決して自分だけでは無い。確かに引き抜きの話こそはあったかもしれないがこれから自分の署に戻る人間がお世話になったと別れの名刺を渡して来る事は決して珍しい事では無いし__と。そこまでの説明が音にならなかったのは一つの結論に行き着いたから。それは余りに自意識過剰で傲慢な考えかもしれないし、相手と己とではその“気持ち”に違いはあるだろうが。もし、もし、本当にそうなら__この嬉しさをどう表せば良いのか。途端に目前の相手が無性に可愛らしくて、愛おしく感じると「……ね、ハグしてもいい?」見る人が見ればそれはそれは幸せそうな笑みで、最終的に紡がれた返事に対する答えとは関係の無い、何の脈略も無い問い掛けをしつつ、返事を聞くよりも先にふわりと焦げ茶の頭を緩く抱き締め、自身の昂る感情を落ち着かせる為か一度だけ大きく深呼吸をして )
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