刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 真っ直ぐに虹彩を見据えていた相手の若葉色の瞳が動き視線が下へと落ちた事に気付く。同時に仄かに熱を持った相手の指先が唇をゆっくりとなぞれば、何とも表現し難い空気に言葉に詰まり押し黙ってしまい。再びゆっくりと向けられた視線と共に告げられた言葉は、普段の相手からは決して紡がれる事のない_____上司と部下という関係である以上聞くことすら無い筈のもの。一度ならまだ譫言として聞き流せたが、あろう事かもう一度はっきりと音にして紡がれた願いに思わず身体が固まる。駄目に決まっている、相手は明らかに酔っていて、それ以前に自分たちは“極一般的な”仕事上の付き合いしかないのだから。_____確かに、互いの家に泊まったり、同じベッドで眠ったりするのは“極一般的な”上司と部下の関係とは言い難いかもしれないが_____と、そんなことをぐるぐると考え、多少”特殊な“上司と部下の関係かもしれないとだけ考え直す。思考ばかりが働いてその間身体はぴくりとも動かず、声を発する事もない。あまりに想像だにしなかった状況に驚き、状況の処理が追いつかない事による反動とでも言うべきか。ようやく僅かに吐息が漏れ、「……酔いすぎだ、」というひと言を紡ぐと相手の片手を掴み唇から離させて。 )
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