名無しさん 2022-01-04 17:44:35 |
通報 |
( 部屋の中から聞こえる微かな言葉を捉えれば、失礼します、といってそっと部屋の扉を開けて中に入った。
入るや否や、机に伏せている主を見て、体調でも悪いのかと駆け寄ろうとするが、不貞腐れたように、震えるように放たれた相手の言葉に、一度歩みを止める。
とりあえず、体調等が要因では無さそうだが、その様子は明らかに普段と異なり、此方も戸惑うばかりだった。)
……レ、レイン様。
…すみません。私は、そんなつもりは…。
( 主を一人にするなんて、そんな事考えたことはなかったが、それと同時に一人にさせないよう意識したことがなかったことも事実であり、そんな自分の不甲斐なさに拳を握った。
唯一の肉親である大主人も、最近はほとんど屋敷におらず、相手が寂しいのは当たり前だ。
自分は孤独だった過去から、他の従者や大主人、主がいる今が幸せだと自分のことしか考えてはいなかったのかもしれない。
ゆっくりと相手の方へと歩み寄り、その背を優しくさすれば、啜り泣くその声に、こちらも釣られるように瞳へ涙を溜める。 )
トピック検索 |