オーナー 2021-07-17 21:17:51 |
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>62 レオン
( 忙しなく響きを立てて走る馬車に揺れながら、いつも帽子を被り、会話では表情がころころ変わるかの人のことを思い浮かべる。
ぼんやりと空に目を向ければ、まだ夕焼けの色が残っているものの、既に暗くなり始めていて。馬車を使うときに必ずと言って良いほど思い出すのは、幼い頃、馬車から降りるときに転ばぬようにと母親に注意を受けたことだった。
石畳に降り立てば、ネクタイを締め直し、目の前に聳え立つコンサート・ホールを見上げる。荘厳な装飾が施されているそれは、いっそう自分の心を弾ませる。
芸術の都であるヴィエンヌで音楽に浸ることができる、と表には出さずとも胸を躍らせて。
相手はまだ到着していないようであり、綺麗に並べられた石畳の端にて待つことに。
気がついてスーツに付いていた埃を払うと背筋を伸ばし足を揃えて立って)
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