管理人。 2021-01-29 15:12:00 |
通報 |
>守
【 4月某日 / 喫茶店 / >65 】
……少なくとも、日本中で探していない場所は此処だけだ。
(彼から齎された問いを耳にしたその瞬間、抱いたのは落胆だった。どうやら心当たりはないらしいと、言葉だけでなく表情からも読み取ると無意識のうちに紫煙に嘆息が混じってしまう。だがそれは、言い換えてみればいつもの出来事だった。淡い期待を抱いては打ち砕かれる、その事象の繰り返しは最早日常に等しいある種のルーチンワークと化してしまっていた。──これではいけない。あくまでも気持ちは前向きに、確たる証拠がない以上諦めてはいけないのだと自分自身を鼓舞しながら相手へ投げ掛けるのは相変わらず低く無愛想な、けれど何処か哀愁の隠し果せていない言葉だった。探せる場所は探し尽くした。それこそ、私生活を投げ売って。見覚えがないのなら仕方ない、と妻が此方に向かって淡く微笑むその写真を仕舞い込もうとして寸でのところで思い留まる。見たところ彼はこの町の住人とそれなりに交流がありそうで、尚且つ三年ほど居住しているという礎もある。新参者の圷にとっては、人の集まりやすい喫茶店の従業員という存在は簡単には手放したくない貴重な"情報源"の一つに違いなかった。故に、「君さえ良ければ、協力してもらえないか。勿論、タダでとは言わない。それなりに報酬は弾む」極めて落ち着いた口調で、しかし他の客に聞こえてしまわぬようやや前のめりになり、潜めた声でそう持ち掛けてみる。実を言うと刑事という過去の仕事柄、こうしたやり取りは珍しいことではなかった。妻を見出す為なら、利用出来るものはどんなものであれ利用する。例えそれが物であっても、人であったとしても。圷は煙草を指の間に挟んで持ち、カップを手にして珈琲を味わいながら返事を待つことにした。)
(/お世話になっております。圷のストーリーシナリオについてですが、日常という認識で相違ありません。エンディングに関してですが此方から希望するものは特に無く、流れに身を任せてどのようなエンドに辿り着くのか、その過程と結果を楽しみたく思っております。居住歴は『来たばかり』から変更はありません。)
トピック検索 |