魔王 2020-11-10 20:05:51 |
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……ふ、そんなヤワだと敵にやられるぞ。明日も早いからもう寝ろ。……おやすみ。
(ベッドから抜け出し鼓動が落ち着いてくれば次に感じるのは相手の体温を失い心細げに冷たくなる体。手を握った時にも思ったことだが、今は触れ合っていた箇所全てがその熱を名残惜しいと思っている。後ろ髪引かれるような思いに駆られ、ようやく心落ち着け振り返る。だが振り返った所でもうあのベッドの上へ戻る口実はなかった。向こうも焦っているのは同じようで、こちらへの返事は分かりやすく上擦っている。自分も余裕がないのは同じなのにそうやって動揺する様子がおかしくて、軽く吹き出してしまうと混乱しっぱなしだった頭も持ち直した。少なくとも向こうも今さっき起こった事が悪い事じゃないと思ってくれているらしい。手を繋いだことにしろ、今のことにしろ、もう随分この魔王は自分が懐に入り込むのを許してくれているようで、それならばもっとこの男のことを知りたいと、心が願っていた。明日はまた相手のことを知れるチャンスになるだろう。ベッドに転がったままの相手に半ば強引に布団をかけるとその上からポンポンと軽く胸を叩いてやる。本音は直接触れたいが、それにはまだ心の準備が足りない。一拍置いたあと、邪気のない声で眠りの挨拶をかけて)
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