2人掛けの玉座 【〆】

____何してる、……次は風呂か？先に言っとくが一緒には入らんぞ。
(洗い場に到着するとスポンジをふん掴んで持ち込んだ食器を洗い始める。パニックになった末に口を突いて出た返事だったが、冷静に考えれば考えるほど先程のやりとりの意味が飲み込めてきて羞恥で顔に熱がこもってくる。ついにあいつが魔王だと振り切れなくなってしまった。未来にいたあのオーマジオウと先程までそばに居た常磐ソウゴはどうしても繋がらなくて、そして今あいつの特別でありたいと願ってしまっている。混乱してぐちゃぐちゃになった頭で叫び出しそうになるのを抑えながらいつもより強い力で食器を洗い終えると大きく深呼吸をする。洗い物のおかげで指先だけは冷たいが体はまだ熱っぽくてそれをなるべく逃がした。冷静に、いつも通りにと心で念じながらいつもの顰めっ面を作ると食卓へと戻る。そこには机に突っ伏す相手がいて、平静を装って声を掛ける。だが先手を撃とうと続けた言葉は焦って早口になってしまって)