魔王 2020-11-10 20:05:51 |
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…俺の知っているオーマジオウは、圧倒的力で人々を苦しめ世界を蹂躙する存在で、俺の世界は破壊され尽くした茶色の世界だった。でも俺は今のお前が……俺は、もっとお前のことを知る必要がある。だから、お前との時間がもっと欲しい。
(記憶の中にある魔王は残虐で残忍で、おそらく戦いを挑んだ人間など塵程度にしか思っていないだろう。だが今自分の隣にいて、こちらへ真っ直ぐとした視線を向けてくる魔王であるはずのこいつは、そんな片鱗もありはしない。どうしてもあの魔王と今堂々と夢を語るこいつが同じとは思えない。いつもの緩い笑みではなく神々しささえあるその眼差しに、胸が強く鼓動した気がした。自らの願望を口にしようとしても、その資格がないことに気がついて口を噤む。そして今の自分が言える範囲での願いを口にする。無意識に隣に歩く相手の腕を掴みつつ、こちらも真っ直ぐと嘘偽りない視線を向けて)
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