魔王 2020-11-10 20:05:51 |
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あぁ、昼間にみるのは活気の象徴のようだったが、夜の露店はより幻想的だな。甘酒?俺達はまだ飲める年齢では……____甘い香りだ。
(参拝の列に並んでいる時も感じたことだが、暗い夜の中吊るされた電球と煌々と光る露店の明かりとは、夜闇に溶けていくような儚さもあり、動物の本能のせいかどこかほっとするところもありで浮世離れしているように思う。普段の生活とはまるで違うその中を歩きながら、文化祭とも海の家とも違うラインナップの店々をキョロキョロ珍しげに見回していた。その最中相手が欲しいと口にしたのは酒と名がつくもので不可解に眉を寄せる。自分の時代では法律も何もなかったが酒は二十歳を超えてからというのが常識だったし、この時代には法律での規制があったはずだ。普段相手の無茶に振り回されるのは慣れているものの、これは看過できないと口を挟もうとするがその前に手を引かれて移動が始まってしまった。程なくして甘酒というのぼりが見えてくると、独特の甘い匂いが鼻を擽ってくる。それが甘酒のものだと分かるのに時間はかからず、店の前までやってくるとその芳しい香りを一度たっぷり吸い込んでみる。嗅ぐだけで頭がぼやけそうな甘さに思わず素直な感想を呟いていて)
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