魔王 2020-11-10 20:05:51 |
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まぁ雪なんてそうそう見れるものじゃないことを考えれば年越しの瞬間に雪景色になるのは…、……まぁ、良い言い訳だ。人が多くなってきたな、はぐれるなよ。とりあえずこれは……初詣の列に並ぶべきか?
(自分の時代でも雪景色はまったくないものではなかったが、それでも珍しい光景であったのは間違いない。そんな特別な景色が特別な日に刻まれるとなればより忘れられない記憶になるのは間違いない。そう思えば雪が降らないうちに家へ、と思っていた心は、この寒いだけの景色を雪景色に変えてくれればいいのにという願望にさえなってくる。そんなふうに思っていれば不意に互いの手が当たって、次の瞬間には手が繋がれて、その次の瞬間には二人の手はポケットの中に収まる。外気で冷やされた相手の手は繋いだ瞬間こそ冷たくて目を開いてしまったが、ポケットに仕舞われるうちにじわじわと暖かさが手の内側から伝わってきて互いの手を温め合う。あいも変わらず相手の唐突な行動には驚かされるばかりで束の間動きを止めてしまう、しかし手の暖かさが伝わるうちにゆっくり思考は冷静に戻る。こう人がごった返した中では他人に構う人間なんてごく少数、加えて理由があるならこのままでいない手はない。ポケットの中で繋がった手を相手のものを温めるよう握り返しながら騒がしくなってきた道を進む。そのうち境内の中へ入ればそこらかしこに露店が並び、新年を今か今かと待つ人々が初詣のため列をなしている。テレビでみるよりもより一層浮ついた空気にあてられ落ち着かない心地になりつつ、列の最後尾に目をやって)
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