魔王 2020-11-10 20:05:51 |
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友達と…、恋人とこうやって海に来れると思わなかったな。……来ようよ、来年も再来年もその先も、夏が来たら海に。
(自分の言葉に応じるように相手からも呟きが零れる。先程まで賑やかにやり取りをしていたのに自然と口を閉ざしてこの風景に浸っていた。一人で居た時間が長くてそれが当たり前になってしまっていたから未だ誰かと一緒にいる現状は擽ったい。友達と、恋人と海水浴に来るという誰にも言わなかったけどやってみたかったこと。日常から離れた海にいるのも相まってもしかしたら自分は長い長い夢を見ているのではともふと思ってしまう。だけど重ねられた血の通った温かい手は紛れもなく現実で、一緒に海に居るのだと何度目かの実感を抱く。そんな相手が口にした呟きは未来への願い。来年もそばに居るのが前提の願いがまた愛おしくて海へ向いたままの相手の横顔を見つめる。今日の相手のような笑みが見られるのなら夏という季節が巡る度に何度だって来れば良い。重なった手を拾い上げて軽く繋げばいつもの緩い笑みと共にそう告げて)
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