魔王 2020-11-10 20:05:51 |
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……確かにそうだな。ちょうど二人分で、誰にも邪魔されない。……力を抜かないと沈むぞ、悪い王様。
(二人用の浮き輪はちょうど二人分のスペースでいて、二人分の体重を支えられるように分厚い輪になっている。浮き輪に体重を預ける姿勢になれば浮き輪の壁が目線の高さまで迫っていて口から発せられる声は独特の響き方をする、半隔離空間とも言うべきか。そんな状況で少し悪戯をしてやるとピタリと接触していた体から窮屈そうに身を捩る感覚が伝わる。何も纏わない体同士でその動きはより鮮明に伝わって、さらに半隔離空間の中に相手の声が響いた。それらの要素は見事にこちらを煽る要因となって、もっと手を出したいと願望に変わる。それに今は悪い魔王を討伐する、という役割があるわけだ。当初の目的もそれなのだから今それを実行してもおかしくない。そんな冷静になれば無茶苦茶な理屈も今は自分の中で理由をつけるために通ってしまって、胸元によりかかる後頭部に後ろから顔を寄せる。腕は相手に回していて、本当に海面に沈みそうになれば相手を支えられる位置には残しつつ、今はその腕をわずかに離してしまう。脇腹へ至っていた指を今度は再び脇下へとゆっくり戻しながら、耳元で吐息がかかるよう我慢するように囁いて)
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