ギルドマスター 2020-11-05 22:11:54 |
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【エレディン/ギルド本部】
「ウィルバーにオーヴィルか。改めて宜しく頼む」
名前を確認しながら兄が差し出す地図で街道の位置を確認する。距離としては大した距離では無いが、森が近いのは少しばかり不安の種だった。予定調和の任務というのはあまり存在しない。戦力を増強する必要も無いが、さりとて予備知識の無い場所に無策で乗り込むのは考えにくい事だった。何より、初めての仕事でトラウマを持たせたくは無かった。挫折を味わうのはもう少し後でも、次の仕事でもいい。初めての仕事では「生き残る事の難しさ」、「事前の準備の重要さ」さえ分かれば良い、というのが持論だった。
「目的の街道の近くには森がある。この規模の森ならドラゴンは居なくても何かしら怪物が巣を作り、餌場を確保するには十分な広さがある。オーヴィル、怪物を倒せば報酬が上乗せされる事は知ってるな?金以外にも周りがお前さん達を見る目を変えるには十分な名誉が手に入る。ただ、それを成し遂げるには準備が居る。今行けば報酬は貰えるだろうが、それまでだ。『駆け出し』の冒険者から『果敢なる』冒険者になるなら準備を整えるのが好機だと思うがね」
なのでここは兄貴の肩を持つ事にする。兄貴は兄貴で言いたい事もあるが、それは道中で言う事にして、弟には『金』と『名誉』の両方から懐柔に掛かろうか。
「足りない分は俺が出そう。あんまりジャラジャラ持ち運ばず、最低限で確実な物だけに絞って買ってみろ。そうだな・・・武器は買わず、それぞれ3つずつとかどうだ?」
とはいっても、兄貴の方があれもこれもと買いすぎる可能性はあった。だから数を決める。初めて狩りに出された時もこうして父親に持っていく物を選ばされたものだ。その日の狩りは失敗に終わり、その日は空腹で寝付けなかったのも今となっては良い教訓だった
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