らう゛こめ 2020-05-03 10:31:06 |
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>蛍
(直ぐに戻ると聞いたはず、にも拘らず当の従者はその姿を中々現しはしない。各々が部活動へ出向き、まるで切り取られたかのように静かな教室内の自分の席で本を読む紙をめくる音だけが時折ひっそりと耳に届く。西日の茜色を窓越しに受けながら、偶に壁掛けの時計を覗いて戻らない姿に人知れず気を悪くする。それは彼女が悪い訳じゃないと知っていながら、無情にも理不尽な八つ当たりのようにぷかりと浮かぶ不機嫌がページを捲る指先に落ちた。顔だけは平生と変化の無い澄ましたまま、扉の開く乾いた音に反応して本から意識を移ろがせ「お帰りなさい、もぅ少しだけ遅かったら───貴女の顔を忘れてしまっていたところよ」伏せる様に睫毛を羽搏かせにっこりとした綺麗な笑みを表情に浮かべ、手元の書籍には目を向けることなく栞を挟みなおしてパタリと閉じて。綴る言葉は一見するならば普段との違いが見つけられないほどナチュラルで、然しその底には薔薇の茨を思わせるほどの静かな棘を隠し持ち″待たされていた″と言う事実に対しての不機嫌を現していて)
>結弦
ひッ、───何ココに居たん?(扉を開いたその先に彼の姿が登場すると露骨に驚きを露わにし、心臓を跳ね上げる様に裏返った声でビックリの悲鳴を上げ。然しすぐにそこに居たのが恋人だと認識できたのか、ほっと胸を撫で下ろしてからニイと口元に笑みを浮かべて笑みに目を細め。そんな笑みも釘を刺す発言に少しの苦さを含ませて″あ゛~”と歯切れの悪い声を落とし決まりが悪そうに指先に摘まみ持つペットボトルをゆらりと数度揺らして「結弦の行きたいトコ行こか」別に詫びる事なんて何もしていないが、それでも恋人を放ってと言われれば刺さる物が有ったようでゴマすり宜しくにそれを伝え。「お疲れさん、冗談はその辺にしといて……ランは結弦とまだ一緒がえぇわ。どっか寄ってこ」彼の隣を取るように並んでから懐っこい雰囲気の笑みを浮かべて「そぉ言や、駅前んトコのゲーセンにパンチングマシーン入ったんやって。勝負しよ」何処が良いかを聞いたのもつかの間に思い出したような口ぶりで目を輝かしながら持ち掛ければ「なー、いーやろ」と尚も強請る様に肩を組み)
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