図書委員長 2019-11-24 02:38:36 |
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あ!う、うん、そうだよね!
んふふ~、桐島さんだいすきー。
良いの?嬉しい!機械とか使いこなすの、ちょっと憧れてたんだよね。
っ……あ、ありがとう。寒いから、借りるね…!
──桐島さん…?
(改めて指摘され、更に手を取られると、今まで相手の頭をずっと撫で回していたことが途端に恥ずかしくなり、相手の言葉に勢いよく頷きながら同意し、一瞬で頬を真っ赤に染めると覗き込んでいた顔を逸らして。幸せな時間がまだ続くのだという安心感と嬉しさで胸をいっぱいにして、ほわほわと満足げに微笑みながらなんの躊躇いもなく大好きと口にし、その気持ちを表現するかのように相手にくっつき、擦り寄り続けて。洗濯機をはじめとした家電、電子機器の存在は一応知っていたものの、これまでは実際に見る機会、ましてや使用する機会など皆無で、純粋な好奇心からそれらに憧れる気持ちがあったため、相手の言葉にキラキラと瞳を輝かせて喜んで。再びコートを被せられれば、相手の微笑みと、何よりも自分にとって魅力的すぎる香りの誘惑に耐えられるはずもなく、相手の好意を再度突き返すような勿体ない真似が出来るはずもなく、素直に借りることにして、香りを意識して何となく恥ずかしくなり、顔を隠すように両手でコートを手繰り寄せると、コートですっぽりと覆われた顔が大好きな匂いで包まれて逆効果だったようで、ますます真っ赤になり、ドキドキと鼓動が早まるのを感じながら、それを誤魔化すように寒いからを強調してお礼を述べて。相手の様子がだんだんと、この幸せな雰囲気に似つかわしくなくなっていくのを感じ取ると、不思議そうに、心配そうに緩く首を傾げ、相手の顔色を窺うように覗き込んで)
あ…あー、………本当にっ、ごめんなさいっ…!
(必死にメモを返して貰おうと足掻くものの叶わず、メモを目を通す相手の姿を為す術もなく見つめながら、何も言葉が出てこないまま絶望したような表情になり、相手の居ないところで勝手に過去の話を聞いてしまったことか、それを相手に黙っていたことか、相手の師匠に名前を出さないように言われていたのにこんなにもあっさりとメモを見られてしまったことか、それともそれら全てか、自分でも何が申し訳ないのか分からないほどに焦り、混乱しているものの、とにかく相手にも相手の師匠にも顔向けが出来ないほどの申し訳なさを感じてしまい、読み終えた相手の反応を見ればその申し訳なさは確信へと変わり、せっかく仲直りが出来たにも関わらず今度こそ終わったと強く思い、言い訳のしようもなく、相手の師匠と約束した手前余計なことも言えず、この世の終わりかのような顔をしてただ一言力なく謝ると、俯き気味に視線を落として相手に背を向け、逃げるようにとぼとぼと図書室を出て行こうとして)
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