図書委員長 2019-11-24 02:38:36 |
通報 |
…………。
あたしには分かるの、桐島さんは優しくて素敵な狼さんだよ。
う、うんうん!…あたし、何言ってるんだろう?
っん…ずっとこのままで居られたらいいのに…。
(起きている時は自分より何でも知っていて、強くて頼りになっていつも自分を守ってくれる、そんな風に自分の目に映っていた相手が、今こうして自分の膝の上でこんなにも無防備な姿で眠りについてくれている、それだけ自分に気を許してくれているのだと思うと嬉しくてたまらず、幸せそうに微笑みながら相手の寝顔を眺め続け、その寝顔は普段の相手よりどこか無邪気で幼げに見える気がして、じっと見とれるあまりいつの間にか頭を撫でる手も止まってしまい、ただただ吸い込まれるように相手の寝顔を眺め続けて。脳が蕩けきっていてまともに思考が巡らず、相手のいう狼の意味など深く考えきれていないものの、自分の中で確かに言えることは相手は絶対に優しいということであり、それは今まさに自分を撫でてくれている手の優しさが物語っているため、心地良さに酔いしれて表情を緩めながらもはっきりと即答して。相手が手を離してくれると安心したようにこちらも手の力を抜いて、相手の言葉に同意するようにコクコクと大袈裟に何度も頷くものの、ほっとした途端に先程の自分はなぜ余計なことをわざわざ暴露してしまったのだろうかと別の意味で恥ずかしくなり、真っ赤な顔でもじもじとしたまま、なぜか疑問形で後悔の念を呟いて。抱き締められたまま耳元で囁かれると、耳に触れる吐息にさえドキッと反応してしまい小さく声を漏らして、頬を紅潮させながら自分からも相手の身体にぴたりとくっつき、幸せなこの時間がずっと続けば良いのにと、うっとりとした声色で願いを口にして)
……うん。居たい。好きだもん。
でも──好きすぎて、あたし、すごく我儘で贅沢なこと、いっぱい考えちゃったし、桐島さんのことも、こんなに傷つけて……桐島さんに謝らなきゃいけないこと、たくさんあるし、本当は……居たいなんて、思っちゃダメって、分かってるけど……っ、
(相手の痛々しく繕われたような笑みを目の当たりにし、やはりこれから自分は振られてしまうのだろうと改めて思い知らされると、こちらもどうしても重々しく神妙な表情になってしまい、自分の勝手で我儘なヤキモチのせいで相手を振り回してしまったどころか、自分と居るせいで相手がこんなにもやつれてしまっているのだと思うと、ここで相手と居たいなんて答えてはいけないのだと心の奥では分かっているものの、自分は相手の師匠の言葉を信じると決めたばかりで、何よりも自分の気持ちに嘘はつけず、特に相手には嘘はつけないため、躊躇う様子を見せつつもしっかりと相手を見据え、震える涙声ではっきりと自分の気持ちを告げ、たとえこれから振られてしまうのだとしてもきちんと相手に謝りたくて続けて言葉を紡ごうとするものの、相手の次の言葉を聞くのがたまらなく怖くて、足はがくがくと震え、紡いでいくうちに相手との様々な思い出やたくさんの想いと一緒に涙まで押し寄せてきてしまい、泣かないように堪えるのに精一杯で)
トピック検索 |