図書委員長 2019-11-24 02:38:36 |
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…今は,我慢してくれ。キツイ。
はぁ…お前がそこまでいうなら,好きにしたら良い。
んー?……俺の苦手なこと,かぁ。
そうだなぁ,薬を飲むのは苦手だ。昔色々あってな。
えっ…,ちょっ…な,なんか気に触ることしたか?痛かったか?
(自分勝手な言い分とは分かっているものの,今,相手の口に指を押し込んで先のような反応をされては理性が焼き切れてしまうように思い,悲しそうにする相手の頭をご機嫌とりのように撫で,我慢してくれと頼んで。
そこまでストレートに好意を告げられると小っ恥ずかしくなり,目線を逸らして相手の言葉を受け取るものの,少し受け取る声をシャットアウトし,すべては聞こえていないが,相手の頭をわしゃわしゃと犬のように撫でて。
相手が小さな興味で聞いてきたのは分かっているものの,そう言われると嘘をつくわけにもいかず,前々から薬を飲むことだけは嫌いで,苦手で,しかし理由は話さず。
そっぽを向かれると先まで身体を重ね合っていた相手とは言えすぐに焦りだし,乱暴だったのか,気に障ったのか,様々な可能性を考慮し,しかしその動機は一つ,相手に嫌われたくない,で,相手に理由を聞いて。)
……いえ,構いませんよ,理由をご説明しましょう。
ドゥディスは彼ではありません,厳密に言えば。
彼の前世です。
分からないとは思いますが,少し聞いていただくよう。
アスクレピオスという医神は,不死の薬を製造した故にゼウスの雷に打たれ,死にました,そして今,彼は正座としてこちらを見ています。
…しかし,彼の作った不死薬,そのサンプルは,どこへ消えたのでしょうか。
……お察しの通り,飲みました,ドゥディスが。
しかし不完全だった故,彼は半不死不老という結論へ至り,ギリシャが滅び,アトランティスが沈み,人の世が統一された後も。
彼は生きていましたが。三千年で,ようやく死んだのです。
…しかし,人間というのは不思議なもので,前世の記憶を赤子は少しばかり引き継いでいて,簡単に言えば。
人は皆前世の記憶を持ち合わせていますが,メモリー不足で古いものから順に消えてしまった。
しかし,この世界の桐島三郎は,メモリーが多かった。
故に前世の記憶を持ったまま,同じ世界で蘇った。
馬鹿げたお伽話ではありますが,これが事実なのです。
(難しい話を絡めているためわかりにくいが、簡単に言えば,桐島三郎がドゥディスの生まれ変わりである,ということだけで。)
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