斎藤 司 2019-10-30 11:40:32 |
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…っ…先生…ごめ…なさ…い…。お…れ…もう…二度と…あんなこと…しません…すみませんでした…っ…!
( 鞄を持ち上履きを履き替えに昇降口へ向かう。自分の靴箱へと足を進めて靴を履き替えて扉を閉めた際に聞こえてきた見知った声にビクッと肩を跳ねさせる。視線を向けると出入り口のところに見えたのは彼の姿…と体育担当の教師で。二人に気づかれない位置へと咄嗟に身を隠しては耳に入ってくる言葉の数々に胸は無数の針で刺されるかのように痛む。サイトウ違いなんて自分にはわかるはずもない。“好きな訳ないだろ”と彼の口から発せられる。男同士のキスだって気持ち悪いだろ?と問われた彼。止せば良いのに伺うようにそっと隠れた壁際から覗き見た姿は言葉こそ発せられなかったがそれは小さく頷いているようにも見えて。すぐにまた身を隠しぎゅっと胸元を握る手を強め。体育教師はどこかへと姿を消したが自分は彼のいる場所を通らないと外には行けない。苦しい…痛い…痛い…皺になりそうなくらいに胸元を握りしめたまま隠れていた場所から姿を見せては震える声で自ら声をかけて。堰を切るように溢れたのは謝罪だけでなくその瞳からは大粒の涙が流れ落ち──勢いよく頭を下げてから彼が口を開く前にその脇を走り抜けようとして )
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