斎藤 司 2019-10-30 11:40:32 |
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…深入りしたらダメだってのに…( 相手の家を後にした車内。車は発進させないまま静かな空間でぽつりと呟く。しかしもう今更な気もすれば自嘲気味な笑みを零して。ふと手元のほんのり温かくなり始めているカイロに視線を落としては先程の相手の言葉や笑顔が思い起こされて。高校生なのに何処かまだ幼くてあどけない笑顔、反して大人のような落ち着きもあり不思議な魅力が相手にはあって。相手と居ると汚い心が洗われるような至極落ち着いた気持ちでいられる。それと共に擽られる庇護欲。様々な感情が交錯していくうちひんやりとしていた手がカイロで温まっていくのを感じれば、カイロをポケットにしまい代わりに癖のように煙草を取り出して口に咥えて。そして火をつけようとしたところで動きを止めるとカイロの入ったポケットに視線を落として暫く。口元に咥えるまだ火のついていない煙草を外すとケースにしまってはゆっくりと自宅へと車を発進させて )
( 数日後の月曜日、生憎今日は相手のクラスの受け持ちはなく相手が登校しているかは不明。態々確認しにくのは憚られ結局放課後の時間になれば日課である裏庭の喫煙スペースに行き煙草を吸い紫煙を吹かせて。ここは滅多なことがない限り生徒はこない。以前相手が蝶を追いかけて此処に来たのを思い出せば無意識のうちに笑みが零れ。と、ガサッとなる物音、また相手が来たかと思うがその予想は直ぐに外れる。『アイツ本当にくんのかよ。』『逃げるんじゃねぇの?』と話しながら此方に歩いてくるのは3年の少々柄が悪いことで有名な男子高生。暴力は振るわないと聞いているが聞こえてきた会話はあまり芳しいものではなく。男子高生たちからは此方は丁度死角になって見えないため、とりあえず様子をうかがうかと煙草の火を消して壁に凭れぼんやり空を仰ぎ、今相手はどうしているだろうと考えて )
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