斎藤 司 2019-10-30 11:40:32 |
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…忘れない…、おやすみ。( 鍵などをどうするか伝えて眠った相手の腹部あたりを一定のリズムで叩き、寝息を立て始めたのを見るとそっと手を下して小さく呟いて。その寝顔はやはり高熱のせいで辛そうで心が痛むがほんの少しだけ自分が来た時よりも落ち着いてみえて。この分だと病院に連れていく必要はないかもしれない。いや様子を見て容態が悪くなるようなら連れていこう思いとりあえずお粥や水が入っていた食器類を手に立ち上がって極力音が出ないように洗い物を済ませ、勝手に触るのは気が引けたが使ったタオルなどと一緒に洗濯や掃除もしておいて。「…帰ったほうが良いのか…、」大方家事を済ませてしまうと手持ち無沙汰。相手は『帰る“なら”』と言っていた。もし帰ると思ってるなら『帰る“時は”』というニュアンスになるはず。…帰って欲しくないのだろうかと思うも、ただの言葉の綾の可能性もある。さてどうしたものか。腕時計で時間を確認してみればもう良い時間。病人とはいえいち生徒の家に入り浸っていいものなのか。…出来る事なら…、 )
( 空が明るみ時計の針が朝の時間を指し示すころ、果たして自分はまだ相手の家にいて。一度は外に出た。しかし鍵はポストの中にいれずに近場で煙草を数本吸って考えに考えた結果相手の家に戻り。椅子に座らせてもらい軽く仮眠を取っては相手の様子を見つつ氷嚢を変えて、明け方になると朝食の準備だけ軽く済ませて、再び相手の様子を見て。顔色は良くなったように見えるが相手が起きてみないことには分からない。軽く相手の髪を撫でてからそっと離れるとベランダに出て煙草ケースを取り出す。ベランダとはいえ生徒の家で喫煙もどうかと思ったがヤニ漬けになった体には抗えず一服だけさせて貰うことにしては年期の入ったジッポで葉先に火を灯し紫煙をゆっくり吐き出すと、ベランダから見える景色をぼんやりと眺めていて )
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