匿名さん 2019-06-10 15:59:22 |
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○汗
───うん、……また、明日…… ばいばい。
(転校をしてきてから世話を焼いてくれる女子集団に、手を振り教室を後にする。廊下を進み、僅かにひんやりとした昇降口を抜けて、真っ直ぐ花壇へと向かう。教師や同級生は大半が親切で、それなりに毎日を楽しく過ごしていたが、ふいに訪れる空虚な気持ちは幼少期より転校を繰り返してきた自身に常に付きまとう。そんな気持ちと夏の湿気を帯びた空気を引き連れながら、花壇に着けば熟れた手つきで鉄製の如雨露に水を汲む。じんわりと僅かに滲む汗で張り付いた制服に多少の不快感はあるが、蛇口から生ぬるい水が落ち切るのを待っていると、もやもやした気持ちと一緒に和らいでいくようだった。終業後の日課を変える切欠は、サルビアの紅ように熱い息遣いと足音。驚いて視線をやると、息を切らせた少年。申し訳ないことに顔に見覚えは無く忘れ物でも届けに来てくれたのだろうかと、思案しつつ彼の呼吸が整うのをそっと見守って)
――― えっ、 あっ…… ぜひっ ! っ、ぁ ……!!!
(再び見開かれた瞳。永遠に鳴り止まないような蝉の声が、瞬時に止まったかのような驚きだった。思いがけない言葉だったから。少女も勢いに任せた言葉を咄嗟に返すが、如雨露の取っ手を強く握ったのがいけなかった。たっぷりと汲んだ水が、ゆたんと溢れ出し手入れの行き届いた茶色のローファーを盛大に濡らした。それでも気にする様子は無く、笑い声をあげ無邪気な表情を顔一面にぱっと咲かせた。自身の反応がなんだか滑稽で気恥ずかしくもあり、また彼の申し出が嬉しかったから。少女の額に僅かに張り付いた金糸は、夕日に照らされ輝いていた。)
(/>No.29様 あまりにも、初々しい少年の行動にきゅんきゅんとしてしまい、恐れ多くも…本当に本当に恐れ多くも……お返事をしてしまいました。投稿されてから、日が経っていますので、お目に留めていただくことは無いかもしれませんが、立夏に素敵ロルと出会えたことを感謝致します。お題が解りづらくなってしまいましたが、爽やかな青春の汗を…!!!/退散↓)
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