>ちよ 清「知るか。どうでもいいだろ」 生徒手帳はそれを奪おうとする手を軽やかにすり抜け、清の眼前にかざされる。パラパラとページをめくると、最後の方にふたつ書かれた名前と、それぞれの隣にいくつかの数字が並んでいる。どちらも女性の名前のようだ。恐らく家族の名前と携帯のアドレスなのだろうが、それを見ず知らずの泥棒(未遂)少女に教える義理はなかった。