隊長 2018-10-24 21:35:56 |
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…そう見えるか?___俺が駆けつけたときには母親はもう駄目だった。救護部隊が来るまでずっと母親(遺体)のそばで泣いていたが夜にはそのことは覚えてなかった。
(こちらに近付いてくる影にぎょっとするが相手のおかしな行動にはもう慣れた。当たり前のように隣に腰掛ける相手をじとりと見るも、なぜかすぐに捕らえようという気は起きなかった。子供の手前なのは言い訳だ。相手も子供に手出しするようには見えず特に警戒はせず、違うと分かって聞いているだろう問いにはてきとうに返し、すっと視線をクローバー畑にしゃがみ込む少年へと移す。聞かれてもない情報を何か思い起こすような、どこか遠くを見る目で話しては小さく息を吐き
あの子にとってはどっちがいいんだろうな
(記憶を忘れたままか思い出すのと。何がとは口にせず問いかけながらも独り言のように呟く。いずれは少年も現実と向き合うことにはなるだろうが記憶があるのとないのとでは何かが違うだろう。自分は“あの日”のことを鮮明に覚えているが当時は与えられたやるべきことに縋り自分の中に眠る暗い感情を誤魔化し生きてきた_つい最近までは。ちらりと相手を見た時、相手に気付いた少年がぱあと表情を明るくさせ駆け寄ってきて『わあ、お兄ちゃんかっこいいねー。モデルさんみたい!二人はおともだちなの?』と純粋無垢な笑顔を向けていて。
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