隊長 2018-10-24 21:35:56 |
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__待ってる
(他の誰かのところへ行くかも_そう言われて胸がチクリと痛むようなざわつきを感じるがそれが嫉妬であることにはまだ気が付かない。すぐに連絡をくれるような発言をする相手に知らずにほっとしながら、相手をまっすぐに見てたった一言、落として。
さて、気は進まないが隊務を果たさねばと気持ちを切り替えドアノブに手をかけたところ、手を重ねられ振り向かされたかと思えば唇を奪われて。相手からの口付けはいつも驚かされてばかり。それでもすぐに受け入れて瞼を下ろせば相手の細い腰に手を添える。ゆっくりと余韻を残すように離れていく温かな感触に静かに目を開けば視線が交わり胸が熱くなる。そしてまるで追い打ちをかけるように見送りの言葉を掛けられれば、微かに息をつまらせ嬉しいような切ないような感情に表情がまた僅かに崩れる。もう十数年以上誰からも掛けられなかった言葉だ。恐らく、相手も同じ…。そして自分でも気付かないうちに望んでいたそれを相手はごく自然に掛けてくれる。多少のからかいなど気にならなかった。本当に、敵わないともう何度も思ったことに内心苦笑しては詰まっていた息を吐き出し、扉を開く相手の額を拳の裏でコツンと軽く叩いて。
__離れ難くなるだろ……。行ってくる。
(平静を装っても少しの照れが生じてしまうのは相手の前だからだ。それでも真剣に述べては挨拶を返し、一度背を向けるも一歩踏み出しけけたところで相手へと向き直り距離を詰めるとその頬に触れて「…ちゃんとお前の元に帰ってくるから」と冷たいながら確かな優しさを声色に乗せて告げる。少しでも相手の不安を和らげたかった。頬から首筋に滑らせるように手を離しては、振り返り際、相手に見えたかは分らない_小さく微笑み今度こそその場を後にした。
(昨晩の隊務を終えた翌日の昼頃、射撃訓練場にて動く対象、遠隔操作によってランダムに移動しながら出現する的を確実に真ん中を射抜き撃ち落としていく。腕は堕ちていない。が、昨夜の隊務で自分はミスを犯した。命乞いをする凶悪犯。_想いを交えたばかりの相手もまた凶悪犯。同じ、とは思いたくない。しかし自分は私情を挟み相手を特別視していることは言い逃れできない。相手は許して、今目の前の凶悪犯は平気で殺すのか。それは小さな綻びだった。相手に近づくことで生まれた、感情の起伏。撃つことに躊躇いはなかったが、急所から数ミリずれた。それは周囲には気付かない小さなミスだが、自分の中で重たい鉛をつくる。__何を血迷っているのか。死んで当然ではないか。あいつも、母親を殺したあの男も。__内側で影を落とす暗い感情。相手を想う気持ちと相反する重たい鉛。時折自分を支配する黒い感情が大きくなることに気付きながら今は目を背け、この綻びをこれ以上大きくする訳にはいかないと。小さく息を吐き出し訓練用の銃を置くと射撃場を出て、荷物置き場に置いてあるスマホを手に取り相手から連絡は来ていないか思わず確認して。この後は、外を見回りがあるくらいで大きな仕事はない。隊服を軽く正すと昼の町へと出向いて。)
___
本当に、自分を大切にしてくれよ。こっちこそ、よろしくな。
今回無駄に長くなったが…合わせなくても全然構わないし不要なところ適当に流してくれ。あとやりたいシチュエーションあれば好きに進めてくれていいからな。
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